特別支援教育について
2007年より本格的に導入された「特別支援教育」は、障がいのある子どもだけでなく、学習や生活面で困難さを抱える子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて、適切な指導と必要な支援を行う仕組みです。従来の「特殊教育」が特別な場での支援に重きを置いていたのに対し、「特別支援教育」では、すべての教育活動の中で、子どもの力を最大限に伸ばすことを目指しています。
特別支援教育の対象は、視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱といった障がいのある子どもに加え、学習障がい(LD)や注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障がいを含む、より幅広い子どもたちへと広がっています。これらの子どもたちが、自分らしく学び、成長し、社会の一員として自立していく力を育むことが、特別支援教育の重要な目的です。
現在では、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、通常の学級など、多様な学びの場が整備されており、それぞれの子どもに合った教育が行われています。特に、「インクルーシブ教育システム」の理念のもと、可能な限り通常の学級で学ぶ機会を確保しつつ、必要な支援を個別に提供する体制が重視されています。
具体的な支援体制としては、以下のような取り組みが全国の学校で進められています。
・個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成:教育的ニーズを把握し、関係者と連携して支援内容を明確化
・特別支援教育コーディネーターの配置:校内外の関係者との調整役として機能
・合理的配慮の提供:障がいのある子どもが学びに参加できるよう、教材・方法・環境などを調整
・支援員(学校介助員、特別支援教育支援員等)の活用:学習や生活の場で具体的な支援を実施
また、近年はICTの活用も進み、視覚的支援や拡大教科書、読み上げソフト、動画教材などを取り入れた多様な教材開発も行われています。これらは、子どもたちの理解を助け、主体的な学びにつながるものとして期待されています。
私たち「特別支援教育デザイン研究会」は、こうした社会的な流れを踏まえ、すべての子どもが自分らしく学べる環境づくりをめざして、教材・指導法・研修などの支援活動を続けています。
(参考・引用)
文部科学省(2023)「インクルーシブ教育システムの更なる充実に向けて」
文部科学省(2021)「特別支援教育資料集」ほか
▶ 特別支援教育についてさらに詳しく知りたい方はこちら:
《文部科学省 特別支援教育ホームページ》
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm